親父の不意打ちに俺は思わず耳を疑う。

「親父、が、いったんだ?」

「そうだ。いった。オプニカの前の夜だ。治療にきたときにな」

親父は澄ました顔で答える。

らうらうの匂いが急に吐きたくなるくらい嫌なものに思えてくる。

「まさか、オプニカのこともいった?」

「いった。取材にいくのは厳禁したけどな」

でも、佐藤の耳は切られた。

俺は、らうらう、をゆうゆうとすする親父を、にらみつけて、きいた。

「なんで、いうんだよ」

親父は、俺を、その深く切れた目でじっと見つめ返すと、ゆっくりとこたえた。

「母さんに似てるからに決まってるだろ」

メコンのマコイ メコンのマコイ

好きなメコンに贈る刀だ。

命をいれて刻んだ刀だ。

わたし以外の男が触れたら

それでまず相手を刺せ

かなわなければ

自分を刺せ

メコンのマコイ メコンのマコイ

好きなメコンに贈る刀だ。

命をけずって刻んだ刀だ。