生命の強さ。

俺は、舞をさっと観察した。

舞は私服だった。

ベージュ色のワンピースで、襟と袖にどこかでみたことのあるチェックの柄が入っている。

手にかけた小さな鞄も、女子が時折持ってくる雑誌なんかに載ってるのにそっくりだ。

肩までの、ゆるくカールされた髪は学校の誰よりも明るい茶色。

耳には、とりあえず外してきたけどが見え見えの、ピアスの穴がいくつもあいている。
 
この学校の女子に比べると小柄だけれど、浅黒い肌とでっかい目、すわりのいい鼻、厚い唇は、俺に、いや、たぶん、クラス全員に、‘正統’w感じさせる、強さがあった。

ー夢とちがう?-

ーあんなもんじゃないかい?-

ーいや、もっと細かったー

みんなそろって、白っちくて、ほそっこいクラスの連中がささやくのが聞こえた。

舞はふてぶてし気に、でも、緊張した面持ちでたっていた。

浅黒い、小さな手がぎゅっと握られたままなのをみて、俺はつい、宣言するみたいにいったんだ。

「任してください。構内も、この地域一帯も懇切丁寧にご案内します。会長責任ですから」

おおおお!っとみんなから歓声があがり、ザビエル安田が、頼んだぞ、とのんきそうにいい、とうの舞はいかにも迷惑そうに太い眉をしかめて俺を見た。でも、

「よろしく」

薄いオレンジ色の唇の間から出てきた声は、澄み切っていて、俺はおもわず、はい、って気お付けしてしまった。