「ふくろうだからじゃん、おまえが」

ふいに後ろから頭をぽこんとたたかれた。

痛ってえ、と振り返ると佐藤がふてくされた顔で立っていた。

「じとじと悩んでると禿げになるぜ。安田みたいなザビエル禿げ」

佐藤はそういうと、佐藤くんも風邪とか? という舞に、違う違う、食いすぎ、と笑かけ、さっさと自分の席についてしまう。

「佐藤、おまえ試合負けたからショックで寝込んでるんじゃなかったの?」

「立ち上がれないくらい落ち込んでるんじゃないかって、みんなで言ってたんだぜ」

みんなが口々にいうのを、また、違う、違う、食いすぎ、となだめている佐藤はいつもと変わらない様子だ。

俺はほっと安堵のため息をつく。

なんだか、さっきから安心してばかりだ。

やがて薬師が入ってきて国語の授業が始まった。

とにかく次の休み時間には佐藤と生徒会室で話さなくちゃ、と俺は思う。

試合も終わったんだから、もう昼練はないだろう、と。

次の休み、それがもう昼休みだってことに、そのときやっと気がついていた。

そして、どうして、口に出していっていなかったのに、さっき、佐藤は俺の悩みをすぐにわかったようなことを言ったんだろう、という疑問にも。

やっぱり俺は疲れている。

そうだ、たぶん、オプニカから、ずっと疲れているんだ。