「じゃあ、六時半に内の橋の袂に集合。風呂に入ってくるのを忘れないこと」

舞を見学させていいか、と昨日きいたら、なんか問題ある? と茶化してくれた佐藤が打ち合わせをしめる。

転校の初日に俺から、‘ここらへん‘を聞いた舞は、次の日から、完璧だった。

都会から来た、田舎を馬鹿にしまくってる派手な女子はどこにもいなくなっていた。

誰にでも明るく、素直に接す姿はすぐにみんなの好感を得た。

だから、今回のオプニカ見学も、なんか問題ある? であっさい快諾されたわけだ。

俺はむしょうに嬉しかった。

「あ、三下と白川は好きなとこにいてくれていいよ。時間だけとりあえず守ってくれれば」

ふいに声をかけられて、はっと見ると。佐藤は帰り支度をしている。

「チャシの前にいてくれればいいんじゃない?」

小森がにたにたしながらいう。

「そうそう。ちょっと掃除とかしておいてくれると助かるかも」

 小森と桜井がは、俺と舞をふりかえって、片目をつぶったまま、手を振る。二人ともほとんど走っている。オプニカの前の風呂は、最低2時間はかかるからだ。

俺は思わず赤くなりながら、拳をつきあげてみせる。

「まかせろ」

「うん。頑張る!」

舞も、まけじと力んで答えていたのが面白かった。

佐藤がくすっと笑って、じゃ、あとで、とこれも走って教室を出ていった。