「その前は?」

「5年前」

「その前」

「9年前」

「その前」

「14年前かな。俺は1歳だったから記憶はないけど」

「じゃ、だいたい2年から5年の周期なんだ」

うん、とうなづきながら、俺は思った。

いま、舞に聞かれたから年数を数えてみたけれど、こうして改めてみると、最近になるほどにイヨマンテの行われる間隔が短くなってきている。

ー溜まりが早い。浄化がいるー

正婆が、舞の親父さんの作ったシチュウを食べながらいった言葉を俺は思い出していた。

「ねえねえ、それ、あたしも出られるのかな?」

舞のちょっと甘めになった声に、俺は、はっと我に帰る。

「っていうか、今回は大人主催だからさ。俺たちガキはお手伝いだし」

「学祭もあるのに?」

「だからさ。イヨマンテの前座みたいなのを学祭でこなすってことなんだ」

「なら、学祭は参加できるよね、あたし」

「もちろん」

舞は安心したように笑って、最後の挑戦のつもりなのか、小石をまた川にむかって投げ始めた。

「お、いった」

もうこれでおしまい、と投げたのが、なんとか2つの輪をつくってくれていた。