「なに?打ち込んでるだけ?」

ほとんど人指し指2本で、えっちらおっちら打っている俺を、舞は猿人類を見るような目つきで見る。

「文章はあがってるの?」

「いちおう」

「じゃあ、あたしが打とうか?」

できるの? と聞く前に、舞は俺の後ろから両手をぬっと伸ばしてキーボードに置いた。

タタタタタタタタ。

ブランドタッチ?

タタタタタタタタ。

「次どれ?」

「ここから、ここまで」

タタタタタタタ。

タタタタタタタタ。

「はい、できた」

俺は思わず拍手していた。

感動で涙が出そうだった。

舞は照れた様子で、前にパパのとこでバイトしたときに習ったんだ、なんていってる。

さっそく木崎をリコールして、舞を書記にしようかと真剣に考えた。

とりあえずコピーをとるために職員室にむかいながら、たぶん、俺はスキップしていたと思う。

俺のほれた女はすごいんだぜって、リズムで。