ながいあいだほんとうにごくろうさまでした

ゆっくりとやすんでください

あっちのせかいでやすんでください


晴れ渡った青い空に、気持ちよく佐藤の声が響く。

俺も唱える。

参加者も唱える。

木々の緑と空の青に抱かれて、もの、を送れるこの瞬間がほんとうにすばらしいものなのだということを実感する。

誰も一人では生きて行けない。

誰も、もの、なしでは生きていけない。

ありがとう。

佐藤がイナウを、もの、の上にひらりひらりと投げていく。

田口と山中が落ちたイナウの上にお神酒をざっざっとかけていく。

小森と桜井がそこにさらに、炎のついた蜜蝋をおいていく。

 イレス・カムイ

誰からともなく詞があがり、みんなの手をあわせる音が聞こえてくる。

俺も手をあわせる。

目の端に、舞の熊がうつる。

お神酒がかかった。

蜜蝋ですこしづづ燃えている。

熊の横の沢山の鞄。