あたしはその場にいるのがつらくて…悲しくて…逃げるように彼の前から立ち去った。

家にすら帰る気分になれなかったが、他に行くところもなく…

少し遠回りをして帰ることにした。

家に着くと、父と母が咲也を寝かしつけながら、すでに床に着いていた。

「何時だと思ってるの?」

あたしはドキっとした。

「咲也はね…明美と一緒に寝たくてずっと待ってたのよ!少しは母親らしくしなさい!」

「仕方ないじゃない!急に残業になったんだから!」

あたしはとっさに嘘をついた。

咲也は4年前…元の旦那との間に出来た子供だ。旦那の暴力に耐えきれなくて咲也を産んですぐに離婚しのだが…。

「仕事、仕事って…本当なの?」

「本当よ!」

そう言いながら時計の針を見るとすでに23時を回っていた。