「今日って何見るの?」


チケット売り場の最後尾に並ぶいっくんの隣に立った。


「お前が前の時見たいって言った映画だけど、イヤだったか?」


「………… なんだっけ?」


前にあたし『映画見たい』って言ったかな?
そりゃ見たいなーとは何度か思っていたけど……


声に出した事あった?


「入院している時言っただろ?
“この推理映画見たい”って。
覚えていないか?」


あぁ、あの時か!
そりゃ見たいなーってあの時は思ったよ。
でも…… まさかいっくんが連れてきてくれるだなんて思わなかった。


それにあの時、いっくん興味無いように返事したから聞き流したのかと思った。



「エヘヘ。
連れてきてくれてありがとっ」


「どーいたしまして」


実はしっから聞いてくれてくれたんだ。


なんだか顔が緩んじゃう。