いっくんに優しくされたらあたし……
一人で頑張れない。


一人で頑張るって決めたのに……
迷惑掛けないって決めたのに……


全部できなくなりそうだった。


いっくんが優しい手を差し伸べる度にその手を掴んでしまいそうで……


自分が弱くなりそうだったんだ。



「いっくんに言ったら心配して、学校でも色々あたしの事を手伝ってくれるって思ったの」


「まあ、耳が聞こえないって聞かされたら色々やるわな」


「それが嫌だったの」



一人で出来る事だって、いっくんが『手伝う』って言ったらあたしはそれに甘えそうだった。


弱い自分に勝てない気がした。


「出来る事は自分でやりたかったの」



ただ、あたしの心が弱いのが原因。


だから、いっくんを沢山傷つけた。


優ちゃんや陽太くんにも迷惑かけた。