話さなかったあたしが悪いけど……
こうやって包み隠さず話しているんだから怒らないで。


「まおッッ!」


「ヤダヤダッ。
聞きたくないっ」


いっくんが怒鳴った。
『まおっ!』って怒鳴った。

いっくんが怖いよ。


「ヤダよ……
聞きたくない」


今にも消えて無くなってしまいそうな声しかでない。


あたしは両手で耳を塞いで、ヒザの間に顔を埋めた。


「いっくんが……怖いよ」



あの日……
いっくんを傷つけたのはあたしなのに、いっくんに怒鳴られるのが怖いって、ワガママすぎだよ。


でも、こんないっくんは……怖い。



「ごめんな、もう怒鳴ったりしないから」


そう言って、いっくんは優しく背中を摩ってくれた。


「まお……
怒鳴って悪かったな。
怖かっただろ?
もう怒鳴らないから話し聞いてくれないか」