“聴力が落ちた―――”
こんなこと、認めない。
もし、認めてしまったら…… 今後の生活がどうなるかなんて、あたしが1番よく分かっている事なんだから。
絶対――― 認めないんだから。
「あのね、今日は学校が終わったらまた耳鼻科に行くの」
「そうなの! また結果教えてね」
「了解」
6時間みっちり授業を受けた後に耳鼻科って…… メンドクサイ。
クラスのほとんどの人と話した事ないせいか、教室にいるだけで緊張する。
そして、あたしの席は窓際から2列目で前から4番目、後ろから3番目……。
やや後ろの席…… ということもあって、少し油断すると声の細い先生の声が聞こえずらい。
若い先生は早口の先生だったりするので聞き取りずらい。
去年までのあたしでは考えられないほど、今は授業に集中している。
授業のノートへの落書きは日常的だったのに、今は全くやってない。
正確にはやっている時間がない。
そのせいか、少しだけ…… “秀才ちゃん”になった気分。
これでテストの点数が上がったら一石二鳥じゃない?
まあ、これはあたしには無理に近いだろう。