「…俺、思うんだけど、伊坂先輩が来なくなってからの悠斗って恋煩いでもしてるみたいなんだよな」
「はっ!?」
思いがけない言葉に、背を仰け反らせて驚く。
「だって、大学にいる時はいつも視線動かして、ある瞬間その視線が止まったかと思ったら、傷付いた顔してる」
「っ……」
痛いところを突かれて言葉に詰まる。
でも、俺は伊坂を捜しているつもりはなかった。
今、言われるまで偶然見かけたに過ぎないと思っていた。
考え込む俺に、和輝は言葉を続ける。
「その視線の先には、いつも伊坂先輩がいたような気がするんだけど、それって俺の勘違い?」
未だに、頬杖をついたまま話す和輝の顔が、ふいにニヤニヤと嫌な笑みを見せた。