「おいっ!悠斗!」

強く肩を揺さぶられてやっと我に返った俺に、授業はとっくに終わっていると告げた。

「どうかしたのか?」

明らかに様子のおかしい俺を心配してくれる。

「いや…俺……いや、やっぱりなんでもない」
「なんだよ、気になるから言ってみろよ」
「……」

心配そうに顔を覗き込まれるが、それでも答えなかった。
なにをどう話していいのかわらない。

そんな俺を見兼ねるように、和輝が口を開く。

「悠斗が悩んでるのって、伊坂先輩の事だろ」
「っ!…どうして」
「バーカ。おまえと何年、友達やってると思ってんだよ」

呆れたような顔で、頬杖をついた和輝が言う。
察しのよすぎる友人を持った事に少し後悔する。