--准*

やはり沙羅は泣いてしまった。
でもどこが懐かしそうで、
嬉しそうなのは俺の勘違いだろうか。

今日こそ俺の気持ちを伝える。
沙羅にこれ以上つらい思いはさせたくないから。

「沙羅」

沙羅がゆっくりと顔を上げる。

「中2のとき、戻ってきたんだけど、
沙羅に会いに行ったらいつも笑ってた。
それで、沙羅が幸せなら俺は見守ってるだけでいい、
って思った。」

俺は続けた。

「でも、今気づいたんだ。
覚えてるか?最後の日にくれたあの手紙。」

「...手紙?」

「待ってる、って書いてあるやつ」

「...」

沙羅は黙ったままだった。
俺は言葉を考える前に
すでに発していた。

「今でも...俺を待ってるか?」