こんなことしてる暇はない。
早く呼び出して帰らないと。

「おとぎ...さん？」

「はい？」

「ちょっとこれる？」

「ええ、まあ。
あ、八雲ごめんっ。あとでねっ」

「うん」

いい子だ。
これで断られたらみっともないからな。

俺と音木は教室を出た。

そのときに感じた
怖くて鋭いようで
悲しそうな視線は
橘のだと知るのにはもう少し時間が必要だった。