-*八雲

すべてはあの日から始まった--

じりりり、じりりり

「もう朝か」

目をこすりながらいやいや起き上がった私は洗面所に向かった。
歯を磨き、顔を洗い、メイクを少し。
部屋に戻っていつもの制服に着替える。

「八雲ちゃーん、朝ごはんできたよー」

お母さん。
いい加減そのちゃん付けで呼ぶのやめてくれませんか。
もう15ですよ。

なんてことを思いながら
私は階段を下りる。

「今日のお弁当は八雲ちゃんの好きなおにぎりよ」

「おにぎり...」

「うんうん」

おにぎり...なんて好物だったっけ?
さあ、どうだろう

私は時計を見る。
8:05

げ、やばい。遅刻だ。
沙羅が待ってる、早く行かなきゃ。

「じゃあ、いってきます」

「いってらっしゃい!頑張ってね」