寒くて冷たい風があたしの体を取り巻
 いて、もうすぐクリスマスなんだとあ
 たしに言ってるかのよう。



 そうだよ。もうすぐクリスマスなんだ
 よ。



 なのに、いつも一緒にいてくれた薫く
 んがあたしから離れちゃうみたいで、
 自然と涙が出てくる。



 暫く歩いていると、昨日千代ちゃんと
 一緒に来た公園に着いた。



 昨日と同じベンチに座って、空を見上
 げる。



 冬の空はすっかり夕日に染まっていて
 まるで血に染まっているかのような、
 痛々しい景色。



 どれくらいこうしていただろう。



 鞄の中に入れていた携帯が、ブブブと
 震えて、無意識に携帯を取り出した。



 ディスプレイに、《着信中:薫くん》
 と表示されてるのを見て、思わず携帯
 を鞄に戻す。



 今話したら、八つ当たりしちゃいそう
 で怖かった。



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