そっとドアを開けると、二人はベッド
 にもたれながらピッタリとくっついて
 アルバムか何かを見ている。



 あたしに気づいた千代ちゃんは、パッ
 と薫くんから離れると、それを不思議
 そうに薫くんは見ていた。



 あたしの存在が気を使わせているのか
 と思うと、また涙が出てきそうだ。



 「あたし、今日家の手伝いあるから帰
  るね」



 今日はバイトの日じゃないけれど、早
 くここから立ち去りたい。



 「じゃあ、送ってくー」



 何も分かっていない薫くんは、さっき
 来たばっかりなのに帰り支度をし始め
 た。



 ムカつく。ムカつく。ムカつく。



 何にも知らないくせに、空気読めてな
 い薫くんに苛立ちを覚える。



 「いい。一人で帰る!!」



 あたしのこんな態度にびっくりしたの
 か、二人ともあたしを直視していたけ
 れど、急いで家を飛び出した。



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