洗面台の前に立ち、蛇口から勢いよく
 出てくる水を暫くボーっと見てた。



 鏡に映る自分の顔がとっても惨めだ。



 何で薫くんが堂々と千代ちゃんちに入
 ってくんのよ。



 沸々と黒い何かがあたしの心を支配し
 ていく。



 得体のしれない何かが。



 涙が出そうになって慌てて顔を洗った。



 泣いてたなんて思われたら、何て言い
 訳していいか分からない。



 ハッと息を吐いてから、また千代ちゃ
 んの部屋に向かった。



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