「あー…、んー…」

『やっぱり用事ある?』


しょぼんとした声を出す小夜子は、「驚かせたくてママ達に連絡せずに帰国したら、2人とも沖縄の親戚の家に行っちゃったらしくて…」と続けた。

せっかく帰国したのに、1人っきりというのはあまりにも寂しいだろう。

そして何より、小夜子と会ったのは1年前の成人式が最後で、自分自身、彼女に会いたい気持ちが強かった。


『大介も、夕方までバイトだって言ってたし…。』


大介(ダイスケ)というのは、小夜子の彼氏だ。
小夜子が旅立つ2ヶ月前からつきあい始めた2人は、もう3年近く、遠距離恋愛を続けている。


「―――ちょっと待っててくれる?」