今まで、誰が淹れてくれたって味なんか変わらなかったのに……


今は時田以外、誰にも淹れて欲しくなかった。



―――何なんだ?




ナンカ オカシイヨ オレ。


「珍しいじゃん。松がボンヤリするなんて。」

「高橋。」

無線機置き場でボンヤリしてると、ゲートに向かう高橋が肩を叩いてきた。

「新人教育で、さすがの松も疲れた?あんまり無理すんなよ。」

軽く背中をポンポンと2回叩いてゲートに向かってしまった高橋。


バタンっと、閉められたドアに向かって小さく「おぅ」と返事をして充電満タンの無線機を一つ手にした。




疲れてんだよな。きっと。

だからだ。


きっと、そうだ。