「いやいや2人とも良く見ろよ!先生だよ!鬼・谷・先・生!」



 そうして漸く2人は事の重大さに気付いた。


「せっ先生!どうされたのです!」



(お前らが同時に太刀をあびせたんじゃないか…)


 もはや鬼谷先生は心の中でしか叫べなかった。




「とにかく助之丞さんと八重さんが止まらないからだよ…」


 歳哉はとりあえず成り行きを話した。ここまで集中して勝負していた2人は“本気すぎて周りが見えない”のか“ただのバカ”なのか歳哉にはさっぱり見当が付かなかったが。


 歳哉が一通り話し終えると、先生が息を吹き返した。


「そういうわけじゃたわけ共めがっ!」

 腹の底から怒鳴る先生。だが…



「歳哉ーそういうことは早めに言えよ?」

 助之丞が言う。


更に八重も、何事もなかったかのように振る舞う。



(なんで歳哉の声は届いて、わしの声は届かないんじゃろうか…無念………)



尋常ではないオーラも、朝の彼らには全く通用しない事を嘆き、先生は再び倒れる事にしたのだった………