「いえ…先生はいらっしゃらなくてもいいです」


 歳哉が反射的に答えた。


「なんでだよ!先生いたほうが心強いじゃん!」


 ここが発言のチャンスとばかりに総祐が久々に口を開いた。


「いや…先生いなくなるとここの道場がいろいろ大変だろ…」


 歳哉は譲らない。



「おいおい、こっちはどうにでもなるさ」


 鬼谷先生はどうしても自分が行くとばかりに言い張る。

 なにせ一番年長でさえ21才の勇大なのだ。しかも最年少は12才の総祐だ。若すぎると言うより幼すぎるから心配なのは当たり前だ。


 それでも歳哉はゆずらなかった。



「いい加減にしろよ!なんでお前がだめだって言い張るんだよ!」


 歳哉の真意をはかりかねた勇大は遂に怒鳴ったのだった。