やっと冷静さをとりもどしたのか、藤井が刀を納めた。


「河上…くだらん理由だったら許さんからな。」

「ふっ…知るかそんなの」



 と、ここでいきなりどさぁ、とだれかが倒れこむ音がした。


「なんだよお前ら………俺らがこんなにやられてんのにそっちだけで解決しやがって………」


 思わず力が抜けた、腕や足の骨を折られた門人たちだった。



「斬れねぇのがわりぃ。あー…でも斬れなくてよかったな、お前ら。」


 河上がぽろりとつぶやく。


「なんだと!」

「言わせておけば!」

「自分が斬れたからっててめぇ!」


 倒れている門人たちが声を上げる。


「ちょっ………河上!」


 田中が注意を促すが、河上は聞いてはいなかった。


「なんだ、声張れるほど元気なんじゃねぇか。問題ねぇ。」

「確かに!」

「おい、田中まで乗るなよ!」


 そんな恵本の一言で、田中たちは笑っていた。


「だって河上の言う通り!ぷふっ!」


「こら田中、笑ってる場合じゃねぇよ」


―――ゴツッ


 なぜか河上から鉄拳が飛んで来た。