田中だけは思わず叫んだ。


「すげぇな河上!やばいぞおい!」



 河上により、結局1本しか残らなかった1本を、田中は狙った。

………10メートル後ろから。



―――スパッ



(まじかよ!あの1本だけはなんか硬くて斬れなかったんだぞ!)


 河上は自分が斬れなかった1本を遠くからいとも簡単に斬った田中に心底驚いた。

 一方、田中は、斬る時に硬い手応えを感じていたので河上のすごさを改めて実感していた。



 しかし河上が気付かないだけで本当は全部硬かったのだ。

 それを切り倒した5人は朱雀道場でも群を抜いてすごかった。


 鬼谷先生はここで試験をやめようかとも思ったが、本来の目的を思い出した。


―――高津たちに多くの者を連れて行かれたくなければ残りの者の合否をはっきりさせておかねばならない。



「おい、他の者はやらんか?」