一人やってしまったからにはもう半端にこの試験を止める訳にはいかない。


―――いっそのこと合格者以外を連れて行かれる可能性を完全に絶つために、不合格者を手負いにしよう…


 こうして鬼谷先生は自分を納得させて、弱い心をごまかした。

 もう鬼になるしかなかった。



 藤井に続けとばかりに藤井の親友である恵本や山岡、河上に田中も、他の門人と同じように、順々に名乗り出た。


 先生の予定では2人くらい合格させておこうと思っていたわけで、5人とも合格させるわけにはいかない。

 でもこの5人なら高津たちの陰謀を止めれるかもしれないと思ったのも確かだった。


 そこで先生は、残りの4人を試すために、少し理不尽な要求を出してみることにした。