なんと、竹はびくともしなかったのだった。


 この時に竹が硬いことを知っていたのは鬼谷先生だけで、他の者は誰一人として竹の硬度を知らなかったのだ。

 硬いことに気付いたのは実際に斬った藤井だけだった。



 と、ここで問題がおこった。

 斬れなければ死ぬと思え、と言った以上、鬼谷先生はなんらかの制裁を加えるしかない状況に陥った。

 先生は、竹をちゃんと斬れそうな人を指名したつもりだった。

 だから当初の予定では、制裁せずに数人に合格を言い渡して終わるつもりだったのだ。


 失敗した者は、藤井があまりに簡単に斬ったことで油断してしまったがために斬れなかったらしい。


 先生としたことが、門人の精神力を計算し忘れてしまっていた。


 それだけ、高津からの圧力による動揺が大きかったことがうかがえる。