いくら大人数を救うためとは言え、門人を犠牲にすることは鬼谷先生の胸を痛めた。

 自然と沈痛な面持ちになる。


 そして、みんなに選抜試験について言わなければならない時が来た。



「みなの者…竹林にこい。女子供はこなくていい。男だけだ。」


 この時も、勇大たちの時のようにざわめきが生じたと言う。


―――なぜ女子供はこなくていいのか

と。


 しかし鬼谷先生は毅然とした態度で言い放ったのだ。


「真剣をもってこい!」



 道場のざわめきは増すばかりだった。


 適齢の男達だけは小躍りして喜び、部屋に真剣を取りに行くのに道場から走って飛び出したと言う。


 その喜んだ姿をみて胸を痛めたのは他でもない鬼谷先生だった。