「でも、見当はついてるんです」


 歳哉のこの発言には総祐までもが驚いた。

「え…なんで?」

 助之丞がせかす。


「さっき道場の奴に聞いたら、八重は泰美さんと一緒にいたようだった。」


―――泰美は八重をひきつけるために使われたであろうこと、そして気が強い泰美に対してそのような命令が可能だった“男”は一人しか考えられない…


「鬼谷先生についている小姓の今遠庸作(こんどう ようさく)しかいない。」


 歳哉は一気にしゃべり終えた。

 その言葉を必死に理解しようとしていた一同は、やっと事の次第が見えてきたようだった。


「もしかして…鬼谷先生の“小姓”ならば」

「剣術に関係ないから15才以上でも選抜試験なんて必要なくて…」

「なおかつ今遠は泰美とは恋人のような仲だ…」


 勇大たちはみんなで言葉を紡いだ。


「ってええっ!?泰美さんと今遠さんって恋仲だったの!??」


「知らんかったんかい!!!」


 どうやら歳哉は男女の機微にうといらしく、そこまでは計算に入れてなかったらしかった…。