助之丞はそのやられた男性に近付こうとしたが、勇大の言葉を思い出し、踏みとどまった。



 すると勇大が先生の前まで出て来る。


「早くやらせてもらえません?うずうずするんです。」


 先生は怒るかと思いきや、意外な言葉をかけた。


「はっはっは!そんなに血が騒ぐか。さすが若いな!やれ!」



 もう、ほかのみんながざわついたりすることはなかった。さすがに自分の身を案じるようになったらしい。


 勇大は一本の竹の前に立ち、しばらく集中した後、刀を抜きざまに上段に構え、右上から左下まで斬り下ろした。


(硬い!これは普通の竹じゃない!)


 そう、この竹は只者ではなかったのだった。