竹林についたみんなは驚愕した。


 先ほどまで遠足気分でいた少年達の顔からは血の気が一気に引いたくらいだ。



 そこには、大の大人が震えながらうずくまっている姿があったのである。


 歳哉は思わず、うずくまるなかの一人で、中年くらいに見える男性に駆け寄った。


「大丈夫ですか!なにがあったんです!」



「大丈夫だ。斬られちゃいねぇよ。ただの峰打ちだ。」


 歳哉に聞き覚えのあるその声は、冷酷な響きを帯びていたものの、勇大から発せられたものだった。



「俺がこの竹林の竹を斬るように命じただけだ。斬れなかったら自分がやられるって話さ。」


 そういったのは、紛れもなく鬼谷先生だった。


 それを聞き、歳哉はもうなにかせずにはいられなくなってしまった。

 鬼谷先生の意図は分からないが、なぜだか竹を斬れなかったら自分を痛め付けられてしまうらしい。

 竹を斬れば意図を掴めるかもしれない。



「斬れば…いいんですね?」


 歳哉は不敵に笑った。