総祐に合図は伝わっただろうかと気になっていた歳哉のもとに、丸まった半紙が転がってきた。



“大丈夫か?早く出ろ!何かおかしい! 総祐”



 総祐の走り書きだった。笹笛の音が届いたらしく、来てくれたようだ。

 この半紙を丸めて投げるのも打ち合わせたやり方だ。

 声を出せばばれてしまう。声を出さず、なるべく音も立てないように考えた結果だった。






 総祐は小窓に半紙を投げ入れた後も、まだそこにいた。


(早く出てこいよっ…そろそろまずいかも…)


 もはや祈るしかなく、歳哉の動きを待った。


―――え?どうやって子供を撒いたか?


 忍者ごっこをすることにして子供たちを竹林と反対側にいざなっただけだった。

 単純にして有効な方法だと、総祐は勝手に自画自賛していた。