(うぇー汗くせぇ……)


―――自分のことも省みて見たらどうだろうか。



 まずは道着の内側を見てみたが、何もない。

 次は袖だ。


(なにか縫い付けてある…?)


 しかし、ただの隠し小物入れのようなものだった。



(じゃぁ……袴か?)


 そう思い、探りをいれてみると、背中側にある袴板の内側に、明らかに先生が自ら縫ったであろう縫い目が見つかった。

 たしかにここならいつも体に密着していて誰にも見つからないだろう。


(あれ?でもなんでわざわざ今日は違う袴を?)


 少々疑問はわいたものの、とりあえず何を隠しているかを確認した。


―――小判だ。