(どうするよ俺!てか八重ねぇちゃんはなんでこいつを逃がしてんだ!!)


 遂に責任転嫁を始めた総祐であった。






 その頃、歳哉はというと、先生の部屋の前に立ち、戸に手をかけようとしていた。


(鍵………)


 13才の歳哉の力では簡単に動きそうもない重い鉄の閂がしてあった。


(これを毎日かけてんのか?先生は。こんな重い鉄、先生でも簡単にどうこうできるものじゃないだろ…)


 そこで歳哉は、別の入口があると踏んで、くるりと部屋の周りを回ってみた。


(発見♪)


 先生がいつもどこから入っているかは分からないが、歳哉なら通れそうな小窓を上の方に見つけた。



(俺、こういう侵入ちっくなの得意なんだよね♪)



 歳哉は壁に所々ある木のつなぎ目に手をかけて勢いをつけ、一気に小窓の枠の木に手を引っ掛けることに成功した。

 そのまま中に入る。


(あれが怪しいな…)


 歳哉は先生がいつも着ている道着をさぐってみた。

 今日の先生はなぜか見たことのない新調されたらしい道着を着ていたので、なにかあると思っていたのだ。