みんなと別れた総祐は、建物の影に潜んで、竹林の様子を伺った。


(うっひゃー♪なんか忍者っぽくてかっこいいぜ!)


―――ノリノリである…。



 聞き耳を立ててみると、どうやら説明がなされている最中のようだった。



「い……も……………………で……たけ…きれ。」


 かすかに聞こえてくる鬼谷先生の声。


(芋で竹斬れ!???)


―――確かにそう聞こえたが…。そこは間を考えろ総祐よ。



 すると、いきなり後ろから誰かに肩をたたかれた。


「歳哉かぁ?早いなぁ!」


 そういって振り向くと、なんとまったく違う少年ではないか。


「歳…哉………?歳哉くんがなにかしてるの?」


 6才くらいの少年は、総祐に負けず劣らずの愛らしい目で見上げて来た。


「いや、なんでもない!」

「なんでもなかったらなんでこんなとこで忍者ごっこしてるの?」

「あ…それはほら………竹林に集められた人達がうらやましいなぁ…なんて、ね!」

「ふぅん…じゃぁ僕も忍者ごっこしたい!」


 純粋な少年にピンチを作られた総祐。小さい子だけに、逆にタチが悪い。“忍者ごっこしてた”なんて誰かに言われては、プライドが傷つくどころか、この年になって一人でなにしてるんだ、と笑われるに決まっている。