「いい?よく聞いてね」


―――その言葉を皮切りに、歳哉は話し始めた。

 まず、これから行われる“真剣”を用いた何かは選抜試験なのではないか。

 だが、年齢制限などをもうけるところからみて、先生の気は進まないに違いない。朝から様子がおかしかったのはそのせいだろう。

そして…

「何か、が気になるから、俺は総祐と八重さんと共に、“何か”の正体を探りだし、もしもの時に備えたいんだ。」


「はぁ…なるほど…お前なかなか頭いいなぁ」

「って勇大、感心してる場合じゃねぇよ!

でもまぁ歳哉の言いたいことはなんとなく伝わった。確かにいろいろ調べるなら八重の力も必要かもな。」

 助之丞も納得したようすだ。



「じゃぁあたしらはなにすりゃいいわけ?」

 そして、唐突にふりかけられた八重の率直な質問に、歳哉は一瞬苦い顔をしたが、

「それは…先生の部屋に侵入するしかない………と思う。」

遠慮がちに、でもはっきりと言い切った。