「皆の者。集まってもらっていきなりなんだが…」


 そこまでいうと、鬼谷先生は顔をうつむける。

 そして顔をあげると、一息ついて続けた。


「………15歳以上…の者は………」


 門人達がごくりと唾を飲む音が聞こえるようだった。


「真剣を持って…裏の竹林に来い。」

 歳哉はとなりの総祐の方を見た。目が合う。お互いの表情に悔しそうな色が出るのを見て取れた。



 道場内にざわめきが起こる。



 そして、鬼谷先生は八重の方をちらりとみて、

「あと…女は免除だ。」

と言った。

 八重の表情が多少くもったのは先生も感じたようだが、あえて何も言わなかった。



 つまり、15歳以上の男子に集まれと言うのだ。

 この道場には15歳未満が20人と少し、15歳以上は100人近くいる。 ちなみに女は三分の一くらいだ。



 誰にもその意図はつかめなかった。