総祐は真顔になって、歳哉の目を見て話し出した。


「さっきの先生の話だけどさ、勇大さんはちゃんとわかってるぜ?」


「えっ………エロおやじってこと知ってたの!?」



―――ゴスッ


「あほ歳哉!」


「なんだよあほとか言うな………!」



 歳哉の思いがけない切り返しに一瞬総祐の真顔は崩れた。が、すぐに真顔に戻る。

 それを見て歳哉は無性に心配になった。

 総祐が真顔になるなんてこと、めったにないのだ。いつも笑顔でいるのだから。



 そんな歳哉の心配なんてお構いなしに総祐は改めて言葉を続けた。

「だからさ、歳哉が先生をバカにしたりするヤツじゃないって事はわかってるってこと。」




―――なんだそんなことか、と歳哉は思ったが、総祐が自分を心配してくれていたことが嬉しかったので、その言葉は飲み込んだ。



「………そっか。ありがとな。」




 こんな雰囲気の二人を実は遠くから観察していた年長者3人組がまたもや妄想を繰り広げていたことを歳哉と総祐は知らない…。