しばしの沈黙。それを破ったのは意外な存在だった。



―――ガラッ



 道場の戸が開くと、そこから勇大が顔を出し、


「おーい助之丞ー!歳哉の相手は総祐だったぞー俺じゃないー…!」


 いまだに勘違いをしていた。

 そこに現れる助之丞と八重。


「ちょっ!勇大は少し寂しそうじゃないか!ははは!」

「何を言う!」

「あらぁ総祐はあたしのものやと思ってたのに!」


―――どうやら三者三様の妄想がはじまったようだった。



 思わぬ邪魔が入り一瞬固まった歳哉と総祐だったが、3人がなにやらブツブツ言っている間に総祐が歳哉の腕を握り、道場から離れていくのであった。




 その姿を見送った3人は、再び勘違いしはじめた。


「やっぱあいつら…!」

「ゆるせん!ゆるせんぞ総祐!歳哉は俺のものだぁぁぁ!」


 助之丞が発した言葉とは無関係に、勇大はついに本音をもらしてしまう。



「あぁ総祐!」


 八重までも少々壊れたようで…

 あぁ、いや、八重は女だから問題ない発言か。




 そんな勇大と八重をみて、逆に冷静さを取り戻した助之丞はポツリとつぶやくのであった。


「ぼぉーいずらぶ…ってやつか…」