(えぇぇーーーっ!?)


 歳哉はできる限りに目を見開いて、背中からどさぁっと倒れこんだ。



 これはチャンスとみた助之丞は、動揺しながらも胸を張って言う。


「あっはっはっ!そ…そそそうなんだよ!歳哉がやったんだ!」


 そんな助之丞を一瞥した八重は、対照的な態度で言い放つ。


「まったく歳哉はそそっかしいんだからぁ!」





(まじかよ…いくらなんでも口ごたえできない年下になすりつけんなよ…!)


 歳哉は倒れたまま呆然としていた。横をみてみると、ちょうど隣りに鬼谷先生が横たわっている。


「おい、歳哉!」


 ささやくような声で先生が耳打ちしてきた。

「なんですかー俺まで巻き込まれたんですよー」


 もはや歳哉も投げやりである。


「なぁ…なんでみんな俺の声には反応しないのにお前にばかりつっ掛かるんだ?」




(………えー!?先生が気にしてたのってそんなことだったのーーー!??)


 歳哉は拍子抜けして、思わず心の声をもらしそうになり、あせった。だが、平静を装い、小声で返事をする。


「いやぁ…集中してるのでは?」



「そうか………ではきっと助之丞は八重の美しい胸をみてるんだろうなぁ!いいなぁー♪その瞬間にやられてるに違いないよなー!」


 もはや先生は変態だ。八重に聞こえないだけ運がよい。あきれることさえもバカバカしく思えてくるってもんだ。




「こっこのエロおやじ!!!」


 歳哉は思わず心にしまおうと思っていた気持ちを吐き出してしまった。



「こら歳哉!」


 先生になだめられたが時すでに遅し。


「なに叫んでんのよ…」


 話題の渦中にいる八重ににらまれるのであった。