そこへドタドタと足音が近付いて来た。


「おーい何事だぁ?」


若者の中では年長ともいえる頼れる兄貴分の藤井勇大が、田中総祐を伴ってやってきた。


 そう、助之丞たちが立ちあっている間に、夜はすっかり明けきり、早朝から朝になっていたからみんなも道場にやってきたのだ。


「おぉ!助之丞!また八重にやられたのか?」

「やられてねぇよ!」


 いつものように勇大が助之丞をからかった。しかし、今日はそんなことをしている場合ではない。



「ガキ共がぁぁ!ゆるすわぁぁん!」


 問題の起った発端である鬼谷先生がここぞとばかりに立ち上がった。


―――ズカァァン


パタリ


(なぜだ…なぜ歳哉まで………)


 鬼谷先生が立ち上がったと同時に、タイミング良く歳哉が立ちはだかったのであった…


「実は助之丞さんたちが稽古してるのを止めようとした先生が!」


 すると、


「おい、バカ言うな歳哉。今お前が倒したろ。」


 勇大があきれ顔で答える。