「何.一人でいきり立ってんだよ?
心配しなくても俺は星野を
誰にも渡すつもりもないから…。
陸…もちろんお前にもな。
実は星野に相談されてたんだよ。
お前に付き纏われて迷惑してる
って…。だから星野も家に来ない
んだ…。お前に言うと傷付くと思
って嘘ついた。それと俺のやきも
ちが半分入ってるかな。(笑)」


岳がいつもの顔で笑ってる。


岳の余裕の笑顔が俺を惨めにさせる。


俺は…本当はどこかで岳と果懍の
別れを期待していたのかもしれない。


完全に俺の負けだった。


「もう…俺の女に付き纏わないでくれよな。」


岳に身体を押されて俺は部屋の
外に追いやられた。


「陸.お前なら星野じゃなくても
他にいくらでも女は居るだろ…?
星野はお前の周りに居る様な軽い
女じゃないんだ。お前とは合わな
いんだよ…。…おやすみ…。」


-バタン-


俺は閉ざされた扉の前に立ち尽くす…。


何も言い返せなかった。


果懍は岳の女…。


岳より一分…いや一秒でも先に
果懍と出会っていたら…。


何かが変わってたのかな?


それでもやっぱり果懍…お前は
岳を選んでいたのかな?