俺は岳の部屋に急ぐ。


-ドンドン-


「岳!!…岳!!起きてんだろ!?」


扉が開く…。


「陸.そんなに慌ててどうしたんだよ?」


「どうしたじゃ無いだろ…。
岳…なんで俺に嘘ついた?」


「嘘?…なんの事だよ?」


岳はわかっている筈だ。


もしかしたら…岳は俺の気持ちも
お見通しなのかもしれない…。


「果懍の事だよ!!
何で来ても居ないのに来たって
嘘つくんだよ!!まさか別れたん
じゃねぇだろうな!?」


「陸…お前さ…俺の女をいつから
呼び捨てにするようになったんだよ?」


今までに見た事の無い岳の顔。


いつもの優しい顔じゃなく俺に
対して憎しみさえ抱いている顔だった。


「それに嘘をついてるのはお前も
同じなんじゃないのか?」


やっぱり岳は俺の嘘を
見抜いていたんだ。

もう岳には隠し切れない…。

「あぁ.そうだよ!!俺は果懍の事が
好きだよ!!あいつも俺の気持ちは
わかってると思う…でも岳の…
お前の女だから諦めようとしてん
だよ!!だから.お前も自分の女な
らちゃんと捕まえとけよ!!」


岳は驚きもせずに俺を見据えたままだった。


俺も今度は岳から目を逸らさない。