「おめでとう!!」


病室に戻って来た岳と美咲ちゃん
にみんなが声を掛ける。


美咲ちゃんは女の子の
母となった。


(ッッ…ゥゥ…ヒクッ…ッッ)


美咲ちゃんの顔は既に
母親の顔になっている。


「ありがとうございます。(笑)」


岳の目が赤く腫れていて
涙を流した事は誰もが気付
いていた。


(ウゥ…ッ…ヒクッ…ッ…)


立ち会った事で岳も感動が倍増
だったのだろう…。
じっと美咲ちゃんを愛おしそうに
見つめている。


(ウゥ…ッ…ッ…ヒクッ…ヒクッ…)


「チッ…お前さ…いつまで
ピータラピータラ泣い
てんだよ!!
いい加減泣き止めよ…!!」


「だってよ…。ヒクッ…本当に
良かったなと思ってさ…。ヒクッ」


「産まれた…。」


一時間程前にそう言った後から
誠也はずっと泣いている。


「誠也.ありがとうな…。
お前まで来てくれると思わな
かったから本当に嬉しかったよ。」


岳が声を掛けるとまた誠也は
一段と大きな声で泣き出した。


ハァ…。


みんなで苦笑いする
しか無かった。


泣きたいだけ
泣かすとするか…。(笑)


この時.俺は自分自身が誠也に
負けない位の涙を流す事がある
とは思ってもいなかったんだ…。