「果凜…こっちにおいで。」


今まではしゃいでいた果凜が
泣きそうな顔をして俺の胸に
飛び込んで来た。


俺は力強く果凜を抱き締める。


「どうして泣きそうな顔
してんだよ?」


「だって…こんな日がまた
来ると思わなかったから…。」


「俺はここに居るだろ…。
もう絶対に離れないから。」


果凜の涙を指で拭って
唇を重ねた。


本当は…俺だって同じ
気持ちだったんだ。


今.目の前に居る果凜をもう二度
と手放さない様に俺は何度も自分
の胸に抱き寄せた。


果凜の甘い香りと
温もりを感じる。



俺達は抱き合いながら離れていた
お互いの空白の時間を語り合う。


違う環境の中で俺達はそれぞれに
新しい生活と色々な人との出会い
があった。


そんな中で一つだけ変わっ
ていなかった事はお互い相
手を想う気持ちに終止符を
打てなかった事…。


俺と同じ様に果凜は何度も
俺を諦めようとしたと話し
てくれた。


そんな時に果凜は支えとなり
好きだと言ってくれた藤崎智也
との新しい恋によって前に進む
事を決心する。


「私…最低な女だね…。」


果凜がポツリと呟いた…。