「身体…もう大丈夫なの?」


星野の問いに俺は星野の
お父さんから希望を貰った事
努力すれば必ず報われる事
を教わったと話した。


「医院長先生は俺の命の
恩人なんだよ。
こんな俺を二度も助けて
くれた…。
そんな優しさに触れて自分
のした事の罪の大きさを感
じて黙っている事の罪悪感
にも押し潰されそうになっ
た。でも…本当の事は自分
の口から言えなくて…。」


「父は全部知ってるよ…。
前園君が病院に運ばれて来た時に
お兄ちゃんが話したの。
陸君を助けたいからって…。
あの時はお兄ちゃんもまだ研修生
で父に本当の事を話してオペを
頼むしか無かったから。」


「…知ってて…医院長先生は
俺を助けてくれたのか…?」


星野が頷く。


俺の目から涙が溢れ出した。


自分の娘を襲った男だと知
って俺を二度も助けてくれ
たなんて…。


信じられ無かった…。


何も知らない振りをして
優しく俺に接してくれた
医院長先生。


‘自分の子供はね自分の
 命より大切なんだよ。,


あの時…医院長先生はどんな
気持ちだったんだろう…?


ごめんなさい…。


ごめんなさい…。


俺は心の中で何度も呟いた。