果懍は警戒しているのか俺から
少し離れた後ろを歩く。


俺はそんな果懍を気に掛けながら先を歩いた。


不自然に遠い距離に俺と果懍の
関係も思い知らされる。


俺が抱きしめてキスなんてしなか
ったら.この距離も少しは縮まっ
ていたのかな…?


俺達は一言も話さずに歩いた。


時々…警戒している筈の果懍が
小走りで俺に近付くのを感じる。


それでも不自然な距離を保ったまま…。


俺.歩くのが早いのか?


そんな事を考えながら少し歩く
速度を落とす。


すると…果懍の足音が消える。


また何かされると思っているんだろう…。果懍が立ち止まってしまった。


果懍にそんな行動をさせてしまうのも俺のせいなんだよな…?


「もう…あんな事しないから…。安心しろ…。」


俺は振り返って果懍に言った。


果懍は俺の顔を見つめたまま何も
話さない。


俺の言う事なんて信用出来ないよな…。


俺は再び前を向いて歩く。


少し間があって果懍の足音が俺の
背中から聞こえてくる。


この公園を過ぎると.駅は
もう目の前だ…。


果懍はもう二度と俺に笑顔を
見せてくれる事は無いだろう。


自業自得だな…。