「俺は美咲の他に何もいらない。
美咲がただ俺の傍に居て
くれるだけでいい…。」


「岳君…。」


「俺と結婚してくれますか?」


「…はい…。」


美咲の目から再び
涙が溢れ出す。


「美咲…ありがとう。
幸せになろうな…。」


「うん…うん…。」


俺は何度も頷く美咲を抱きしめ
ながら心から愛しさを感じた。


美咲と出会い…好きになって…
ただ傍に居てくれるだけでいい…
自分にもそんな存在が出来た事を
幸せに思う。


陸…人を好きになるって
こう言う事だったんだよな。


ただ…傍に居てくれる
だけでいい…。


俺は美咲と出会って
初めて知ったよ。


陸…俺は今お前にも幸せ
になって欲しい…と心から
思っている。


お前と星野を引き裂いて
しまった俺だけが幸せに
なる訳にはいかないんだ…。


美咲にプロポーズして
半月程した頃だった。


「俺だ…果凜が来週には
日本に戻って来る。」


星野さんからの電話。


星野が帰って来る…。


俺は不安と希望を抱えながら
この日をどれだけ待ち侘びて
いたかわからない…。


陸…俺…星野に会って来るよ。


あともう少しだけ…
待っていてくれよな。