いつもの美咲の部屋…。


俺が1番落ち着く場所。


仕事を終えた俺は美咲の部屋に
帰るのが日課になっていた。


でも…遅くなっても必ず
自分の家に帰る様にしている。


それは自分の中のケジメだった。


そんなケジメよりもっと
ハッキリとケジメをつけたい…。


男として…愛する女に
対するケジメを…。


俺は美咲の前に座り
手を取る。


「美咲…俺と結婚して下さい。」


「………。」


美咲は黙って下を向いたまま
顔を上げようとしない…。


やっぱり…こんな俺じゃダメなのか…。


そう思った時だった。


俺の手の甲に大粒の
涙が落ちる。


「美咲…?」


「…私なんかで…いいの?」


「えっ?」


「私は…岳君に何もして
あげれないよ。
それなのに私なんかでいいの?」


美咲…。


お前は俺に人間として
1番大切な事を教えて
くれたじゃないか。


人を信じる気持ち。


人を思いやる気持ち。


それより…何より
生涯で一度きりの人を
愛し貫きたいと言う感情…。


それは美咲でしか
俺に与えられないんだ。


他に何もいらない…。


ただ…お前が傍に居て
くれるだけでいいんだよ…。